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ゆずぶろぐ
ゆーえの語るブログ。主に、フォーチュンクエスト(著:深沢美潮、電撃文庫)のトラパスについての創作やらなんやら
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昨夜思いつきで書いた創作です★


パラレル(現代編っぽい)設定なので、そういうのが許せる方のみ下のタイトルをぽちっとどうぞー


 


 


 


 


 


 


生まれてから今まで、彼に出会ってからの方が確実に短いのに、ある日を境に、
彼が居ない日が来るのがとても怖くなった。
その境は、彼とキスを交わした日、彼と約束をした日、彼をすきだと思った日、
そのどれもなのかもしれない。
約束は不確かで、気持ちを繋ぎ止める手段にさえならない。
『恋人』という約束は甘美な響きだったけど、憧れていた程にわたしを満たして
くれなかったし、それどころか、不安にさせた。



「待ったか?」
約束のきっかり15分過ぎに現れても、全く謝ろうとしないトラップに少し苛立つ
。
彼が待ったかどうか聞くのは、ごめんという意味なのは分かってはいるけれど、
素直に謝れないんだろうか、と思ってしまう。
わたしはそんな気持ちとは裏腹に、「ちょっとね」と答える。
余裕が無くなってきてるわたしに対して、余裕のある彼の態度がむかつく。
だってわたしは、腹が立ってても彼の顔をみるだけで嬉しくなってしまうから。
「ほら。手、よこせ」
はじめて手を繋いだときの事を覚えている。
ぶっきらぼうなトラップの手は冷たいのかもしれないと思っていたのに、温かか
った。

出会ったのは今年の春だというのに、冬になってから色々と彼との思い出を思い
出してばかりいる。
まるで別れるみたいに、だ。
トラップがこの町にやって来たのは、今年の春だった。
ここの大学に通うために実家から出てきて独り暮らしをし始めた彼は、たった一
つしか年が違わないのに、わたしの目にはとても大人びて映った。
トラップはいつもわたしをからかってばかりいたけれど、わたしはそれでもどこ
か嬉しかったんだと思う。彼に、ちかづきたかった。
だから、あの夏の日、つきあおうと言われたとき、わたしが断る理由はどこにも
なかった。
彼をすきだったのだ、わたしも。

「早く、勉強しろ」
トラップの部屋に遊びに来ても、わたしは結局勉強しろと言われるのだ。いつも
のことだ。
受験生だろ、そう言われると何も言えなくなってしまうけど、わたしだって少し
は甘えたいとか思うんだから。
「パステル、おめぇ都会の大学行きてぇんじゃねぇの?」
そう。わたしはこの町からでてゆく。
だから、今はもっと一緒に居たい。本当は、もっとずっと一緒に居たいんだから
。
「トラップの、意地悪」
「はぁ?おれは、おめぇのために言ってんだぞ」
わかってる。試験はそんな楽じゃないんでしょ?そんなのいやと言うほど聞いた
んだから。
言わないで。大人ぶって、わたしを子ども扱いしないで。
たった一年しか違わないはずなのに、どうして彼をこんなに遠く感じてしまうん
だろう。
離れたく、ない。
「わたし、帰るから」
「…あに言ってんだよ」
「勉強道具忘れたみたい」
くやしい。泣きそうだ。
立ち上がったわたしを無理矢理つかんだトラップは、わたしを怒ったように見下
した。
「ばればれの嘘吐く癖はやめろよな」
誰のせいだと思ってるの。
そんなことすら言えなくて、わたしは結局トラップに何も言えないのだ。
「……わぁーった、…送ってく」
わたしが泣き出したから、トラップは少し優しい口調になってわたしの髪の毛を
なでた。
「けど泣いたままじゃぁ、帰せねぇから。おれが何かしたみたいに誤解されんだ
ろ」
もし少しでもトラップが甘えることを許してくれたら、わたしはこんな風に泣い
たりしなかったのかもしれない。
不安になる。
春からの、トラップの居ないこの日常が。

進路を都会にした理由は、とても安易だった。
『この町を出てみたかったから』。
だけど、トラップに出会って、彼をすきだと思って、約束を交わして、キスをし
て。
その度、疑問を持たずにいられなかった。わたしは間違っていないのか、って。
だけどわたしは、何も出来なかった。
それに、トラップはその事を承諾していたし、わたしが今更進路を変更する言い
訳は何もなかった。
トラップと一緒に居たいのは、わたしだけなのかもしれないし。
親友のマリーナが羨ましかった。
マリーナはもう推薦で大学が決まっていて、おまけに年上の恋人、クレイと同じ
大学だから。
もちろん彼女は、クレイがいるからそこを選んだわけじゃない。それが羨ましか
った。
言い訳なんか、必要としないから。

「…なぁ、パステル。おめぇ、最近変じゃねぇ?」
「…そう?」
見透かされてる。
以前はそれが悔しいようで嬉しかったのに、今は嬉しいようで悔しい。
それは似ている様で、全然違っている。
「トラップは、わたしを、すき?」
どうして、とかそういう事を聞くんだろう。そしてはぐらかすんだろう。
その度、不安になる。
「わかんねえの?」
「………」
予想とは少し違う答え。
多分これは、すきだということ。
「口約束なんて、当てにならないし。それに、トラップは何を考えてるのか、わ
からない」
「あのなぁ」
わたしに向かって呆れた声が飛んでくる。
「じゃあ、口約束だけじゃなくて、指輪と紙切れがあれば、おめぇ安心なわけ?
それだけで、そんなに不安になる事なのかよ?」
分かってる。
今のわたしたちには、それが必要じゃないことくらい。
「違う…けど。でも。じゃあ、トラップはわたしがここから居なくなっても、平
気なの?いつも、そっけないじゃない」
また、帰れなくなる。涙がじわりとにじんできたから。
泣きたくなかったのに、余裕無いところをみせたくなかったのに。
「おめぇは、平気じゃねえの?じゃぁ、どうすんの?」
冷たい言い方でぴしゃりと言われる。
もっと優しい言葉をかけてくれるんじゃないかと思っていたけど、トラップだか
らそういう訳でもないのかもしれない。
もう、おわりなの?

「トラップの…ばかぁっ…!!!」

その瞬間、トラップはわたしを引き寄せた。
わけがわからなかった。
「人の気も知らねぇではやとちりする癖も、やめろよな」
彼が耳元で呟くと、さらさらの前髪がわたしをくすぐる。
「平気じゃなくてどーすんだよ。遠距離で、だめになるようで…どーすんだよ」
「…え?」
「会いに行ってやるから。うざってーくらいな。だから…平気なんだよ」
約束がまた、ひとつ。
この約束が、いつかまたわたしを不安にさせるのかもしれない。
だけど、信じるしかない。
信じるしか、できないから。信じずには、いられないから。



クリスマスは、勉強じゃなくてちゃんとデートしような、と言ったのはトラップ
の方だった。
わたしはきっと、また待たされるのだろう。そして、また「ちょっとね」とか言
うのだろう。
それは、トラップとの『恋人』という約束のせいだから、わたしはきっと逆らう
ことができないはず。



---------------
トラパスリアル編(ネーミングセンス悪)です。
普段こういう小説ばっかり読んだり書いたりしてるせいで、こっちの世界観の方
があの世界観より楽だったりします。そりゃそうか。
けど、こういう設定は私小説ともとられるんで恥ずかしかったり。
まぁ、好きだからまた書くんでしょうけどね。
トラップとパステルは本当は同学年なのは分かってますが、大人っぽいトラが書
きたかったので一個上にしてみました。
このパラレル設定気に入ったから、シリーズ化しようかなー
同学年の学園編とかはありがちなので、あえて。
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HN:
ゆーえ
性別:
女性
職業:
某マンモス大学生
趣味:
音楽鑑賞とかネット、小説読んだり書いたり飲酒したり
自己紹介:
じれじれなトラパス大好き。
だめ学生まっしぐら。
だいぶ隠れオタクさん
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